●国際6都市の小学生の学習に関する意識・実態とは (2007年09月21日)
株式会社ベネッセコーポレーションは、国際6都市における小学生の学習に関する意識・実態調査を行ないました。
by Murat Cokal
調査対象は、東京、ソウル、北京、ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンDCに住む10歳、11歳の小学生です。調査項目は、好きな教科、授業の理解度、家庭学習の時間・内容・様子、日常生活の中での「学習」、学習塾の利用、習い事、成績の自己評価、学習上の悩み・意欲・喜び、社会観・価値観、希望する進学段階、メディアの利用、家庭環境です。
調査結果に基づく各都市の特徴は以下になります。
●東京
平日の学習時間は、ソウル、北京に次いで長く、平均で100分を超えるが、学習時間が短い子どもと長い子どもの二極に分かれている。
5割が学習塾に通っているので、通塾率は高い。
勉強が将来の生活や職業に「役に立つ」と考える傾向が6都市の中で最も低い。
高学歴志向が強くないところが、同じ東アジアのソウルや北京とは大きく異なる。
●ソウル
平日の学習時間は平均で145.8分にもおよび、6都市の中で最も長い。
その背景は7割の小学生が週5日以上、学習塾に通っているからである。
習い事も5割の小学生が「外国語」を学んでいて、学校外の学習機関が発達している。
勉強熱心であるので、学習に対する悩みが多いのと同時に学習意欲も高い傾向が見られる。
高学歴志向が強い。
●北京
平日の学習時間はソウルに次いで長く、平均で131.6分にもおよぶ。
その背景は宿題をする時間が60.0分と長い。
通塾率は最も高く、休日に長時間、学習塾で勉強している。
学習上の悩みは他都市に比べて少なく、高学歴志向が強い。
●ヘルシンキ
平日の学習時間は平均で68.2分と短めで、その大半が宿題をする時間なので、学校課題を中心に学習している。
放課後の活動の中心はスポーツである。
勉強を、友達と競うことやいい成績のために頑張る意識はあまり高くない。
ほとんどの小学生が自分専用の携帯電話を持っているのが大きな特徴である。
●ロンドン
平日の学習時間は平均で74.1分と短めで、その大半が宿題をする時間で、宿題以外に学校外で勉強する意識は強くない。
しかし、勉強が将来の生活や職業に「役に立つ」と考える傾向が6都市の中で最も高い。
習い事は「スポーツ」が多く、「何もしていない」の比率は6都市の中で最も高い。
「学校でインターネットを使って何か調べる」の比率が高く、学校のICT化が進んでいる。
●ワシントンDC
平日の学習時間は平均で62.6分と最も短く、その大半が宿題をする時間である。
習い事は「スポーツ」が多く、勉強は学校ですればよいという意識が6都市の中で最も高い。
しかし、勉強が将来の生活や職業に「役に立つ」と考える傾向は高い。
成績の自己評価が高いのが特徴である。
この調査結果は、それぞれの都市の教育制度や学校外の学習機会、家庭生活の影響が大きいです。違いがあるのは当然で、単純に数値の比較をすることで教育実態を解釈することはできません。
制度や文化、社会経済的な背景が子どもの学習に対する意識や実態に大きく影響していることが興味深いところですね。
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投稿者 kksblog : 2007年09月21日 21:02